来い恋
そして私は今、社内一のモテ男と休憩室お茶している。
コーヒーはうれしいが、もし原田ファンの女子に見られたら・・・と思うと、
決して悪いことしてるわけではないのだけれど
ついついきょろきょろ周りを確認してしまう。
少女マンガだと、こんなかっこいい人ごろごろいるけど
現実イケメンはレアものだ。
少女マンガの様な恋は諦めてないけど相手が超絶イケメンだときっと疲れるんだろうな

でも私にはお見合いっていうクエストがあったんだった。
思い出しただけで気が重くなり大きなため息を漏らしてしまった。
「どうした?ため息なんかついて・・悩みでもあるのか?」
やばい!
課長の前でため息ついちゃったよ。
「い・・いえ・・なんでもないです」
課長みたいなイケメンにはお見合いなんて縁のないものなのに・・・
私がお見合いするなんて話したら笑われそうで絶対言えない。
慌てて否定するも
「それにしてもすごいため息だったぞ」
「だ・・大丈夫です。プライベートな事ですし・・・ハハハ」
これ以上突っ込まれたら自分が恥かきそうだからそろそろ退散しようと立ち上がった時
課長が私の腕を掴んだ。
「あ・・あの・・・課長・・・?」
「プライベートな事って・・・恋愛ごととか?」
課長!顔が・・・顔がなんかちょっと怖いんですが・・・私なんか怒らせちゃった?
いつも見るやさしい笑顔とは打って変わってなんだかなんだか怖いんですけど・・・
ここは恥ずかしいけど正直い話した方がいいのかと思い
恥を覚悟で
「恋愛以前の話なんですが・・・実は今度お見合いするんです。親が勝手に決めちゃったみたいで・・・」
「お見合い?相手はどんな人?」
「相手ですか?」
「そう・・・相手」
相手・・・見てないよ。先日写真と釣書は届いていたがまだ封を開けてない。
でもそんなことまで課長に言うべきか一瞬悩んだがここまで話しちゃったから
ええい!言ってしまえと話を続けた
「写真とかは届いてるんですよ。でもまだ見てないんです。
どうせお断りするつもりでいましたし・・・」、
あー言っちゃったよ。
社内一のモテ男にドンマイな自分さらけ出しちゃったよー
穴があったら入りたいんですけど。
恐る恐る原田課長をみるとどういうわけか肩を震わせて笑っている。
何がそんなにおかしいの?
お見合いがするのがそんなに面白いか?!
いや、面白いから笑ってるんだろうな。
そりゃー課長みたいなイケメンには
お見合いなんて無縁だろうけどね。フンだ!
なんだかこれ以上一緒にいるとだんだん自分がみじめになる。
ここはさっさと退散するのが一番だ!
そう思い残りのコーヒーを一気に飲み干した。
「課長。コーヒーご馳走様でした。今から総務に行くので失礼します」
と立ち上がった。すると
「お断りするにしても写真くらい見てあげなよ。」
そう言って原田課長も席を立ち私の肩をポンポンと叩いて笑顔で休憩室を出て行った。
急に笑ったかと思えばお見合い写真はみてあげなとか・・・
イケメンの考えてる事が益々わからん。
芽依は慌てて休憩室を出て総務へと向かった。
< 9 / 176 >

この作品をシェア

pagetop