ひつじとライオン
「血が……っ、血がぁぁ……っ」
腰をあげたかと思えば再びしゃがみ、膝辺りでわなわな震えだす両手。
「怪我?」
「気付かなかった…、どうりで痛いわけだ」
盛大に突っ込んでったんだ。
怪我くらいしてるだろ。
いちいち大袈裟だな、とそちらに向かい、同様にしゃがむ。
見えたのは膝小僧から出ている結構な出血。
「あらー……」
「血、無理。見れない」
「じゃ見なきゃいい」
「でも!これはもしかすると……」
「……」
「血で覆われてよく分からないだけで実はぱっくり割れてて骨が見えるくらいの大怪我かもしれない」
「え」
「もしかすると、血だと思ってるコイツのどこかに肉片が混じっているのかもしれない」
血を見るよりよっぽどしんどい妄想してんだな。