ひつじとライオン
女はぺたりとその場に尻をつく。
おい、せっかく立とうとしてたのにまた座ったぞ。
良かったぁ、と呟く声は心底安堵したらしい。
本気で骨とか諸々心配してたの?
そんな大怪我だったら土が気持ちいいとか言ってられない痛みだと思うよ?
「お手数かけました」
「いえ」
「あぁ、でも血が……。血ぃ無理」
どんだけビビリなんだコイツ。
何かくらくらしてるし。
噴出しそうになるのを堪えて、持っていた鞄を漁る。
確か随分前にかーちゃんが突っ込んだ……、あった。
「はい」
「え?ハンカチ…」
「それ巻いとけば見えないよ」
紺のそれは四角く畳まれたままで一見綺麗だがいつのかは分からない。
が、目隠しにはなるだろう。