ひつじとライオン


やけに嬉しそうに…、いや違うな。これはからかってる、面白がってる表情だ。
悟の座っている椅子を軽く蹴る。
すると更に楽しそうに笑った。


「怜央がそんなに楽しそうにしてるのに、何かもったいないねー」

「何が?つか楽しそうにしてるのお前な」

「だってもう会えないじゃん?番号も知らないんじゃ」

「何で会わなきゃいけないんだよ」

「一期一会だよ、怜央くん」

「女との出会いに意味なんか持たねーし」

「ミホちんがいるからー?」


両手で頬杖ついて「ふぅ」と大きな息を吐くと、「ほんと、女には冷たいのに彼女となると一途なんだからぁ」と一言。
何当たり前のこと言ってんだ。


彼女が出来ればソイツのことを一番にする。
それは当然だろう。
彼女がいれば他の女と関わることはおかしな話だろう。


自分がちゃんとしていれば、相手に不安を感じさせないで済むんだから。


< 25 / 44 >

この作品をシェア

pagetop