ひつじとライオン
やけに嬉しそうに…、いや違うな。これはからかってる、面白がってる表情だ。
悟の座っている椅子を軽く蹴る。
すると更に楽しそうに笑った。
「怜央がそんなに楽しそうにしてるのに、何かもったいないねー」
「何が?つか楽しそうにしてるのお前な」
「だってもう会えないじゃん?番号も知らないんじゃ」
「何で会わなきゃいけないんだよ」
「一期一会だよ、怜央くん」
「女との出会いに意味なんか持たねーし」
「ミホちんがいるからー?」
両手で頬杖ついて「ふぅ」と大きな息を吐くと、「ほんと、女には冷たいのに彼女となると一途なんだからぁ」と一言。
何当たり前のこと言ってんだ。
彼女が出来ればソイツのことを一番にする。
それは当然だろう。
彼女がいれば他の女と関わることはおかしな話だろう。
自分がちゃんとしていれば、相手に不安を感じさせないで済むんだから。