ひつじとライオン

あの日から何日経ったか、ある日の放課後。
男子しかいないうちの高校に女子がいるという話が凄い勢いでまわってきた。


「まじか!」


ガタンと立ち上がり見に行こう!と鞄を手にする悟。
ついさっきまで「なんかだりぃなー」と欠伸をしていたのに。


えぇ……、と拒否を示す俺の腕を引く悟の力は強い。
女子が絡んだだけで、何だこのパワーは。おそるべし男子校。


「どーせブスだって」

「それでも見るの!」

「あのさぁ、外に出れば女なんかいくらでもいんじゃん」

「バカ?お前バカなの?ここに現れた女子ってのが見たいんじゃん!俺は別に女子が見たいわけじゃないのよ、男子校に舞い降りた天使が見たいの!」

「天使って……」

「どーする!?『毎日電車で見てて…』とかって俺のこと待ってたら!」

「お前チャリな」

「たまらーん!」



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