ひつじとライオン


紙に書かれていたのは、人。
それは分かる。
でかい丸の中に目と鼻と口があったから。
髪は黒く前髪はセンター分け?


そんなもんいねーし、そんなもんごろごろしてるともいえる。
それだけ特徴はないし、絵としてのクオリティは本当にラクガキ。これで人を探すのは無理だ。七つのボール捜す方が簡単。


「この人、うちの奴なの?」

「え、はい。制服が……」

「名前は?」

「分かんないです」


悟が聞いてやるが情報は出てこない。
そりゃそうだ、じゃなきゃこんな落書きで人を探すわけがない。


「頑張ってね」


俺は先に歩き出し、悟はそう声をかけてやった。
が、


「あ!あの!」


< 31 / 44 >

この作品をシェア

pagetop