ひつじとライオン


そんな声がした後、ぐいっと後ろからブレザーを掴まれた。
思わず眉間にシワが寄り、「あ?」と振り返れば、声の主だった。


「あ、すいません!あの、」


女子は紙と俺の顔を見比べる。
まさか。


「あの、もしかして」


いやいや、嘘だろ?
その顔が俺に見えるの?この子。目ぇおかしいんじゃない?


「……やっぱり!」

「あ?」


何がやっぱりだ、失礼にも程がある。
どこをどう見たら俺だよ、パーツは一緒だけどそんなん全部の人間に言えるわ。


「え、何?探してんのコイツ?この絵?」


そう言って盛大に噴出した悟を思いっきり蹴った。

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