ひつじとライオン
俺を探している筈の『羊』は道ではなく、木の上にいた。
そこに探し人はいるのでしょうか。
「何やってんの!見つかったのに!」
「あっ!先日の!本当にありがとうございました!」
木の上からお礼言われても。
「何で木に登ってんの?」
笑いながら悟がたずねれば、「猫が木から下りれなくて…」と、なんともまぁ漫画的展開を口にした後、へらりと笑って、
「でも猫じゃなくてただの袋だったんです」
と、一同ぽかんとするようなことを付け加えた。
「と、とりあえず降りてきな!」
「あの、それが、どうやって登ったのか分からないんだよ、麻友……。だからどう降りたらいいのか分からないんだよ、麻友……」
「はっ!?」
「木登り初体験なもので」
コイツ、本当にバカだ。いや、馬鹿だ。