ひつじとライオン


「そういや、あんた昨日遅かったんだって?」

「え、あー……、そうかも」

「ママが心配してたよ、10時くらいに帰ってきてたって」


麻友は丸顔でお目目くりっとしてる可愛い顔。
なのに、サバサバした姉御肌。
からの『パパ』『ママ』呼び。
このギャップに次いでのギャップに、あたしは昔からやられている。本人には言わないけど。だって、あたし以外の前じゃ言わないもん、「うちの親」って言い方するもん。もしかしたら気にしてるのかもしれない。でも可愛い。


「バイトじゃないよね?どったの」

「んー、ちょっと探してて」

「何?落し物?」

「うーうん、人を」

「人?」


首を傾げる麻友に「この前、ここで」と付け足せばすぐに、「あぁ!助けてくれた人ね」とわかってくれた。
でもぶはっと噴出したのはいただけない。



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