ひつじとライオン
『素直に言えばいいのにねーミホちん』
「何を?」
『会いたいだけー!って』
「そういう女かよ」
『だよねー、損してるわ』
電話の向こうで笑うコイツ、中野悟(なかのさとる)は同じクラスの友人……、悪友?
高校入学からつるんでいるので、勿論ミホのことも知っている。
「ま、そういう可愛い気持ちで呼んだんじゃねぇし」
『え?あー……また?』
「多分」
ミホがどれだけ面倒くさい女なのかということは、最早ネタである。