ひつじとライオン


近くにある自販機でジュースを買ってきてくれた麻友と二人、花壇に座る。


「つか、あの制服ってさー、K高校だよね」

「へぇ。頭いいんだ!」


あたしは所謂底辺高校にギリギリで合格という頭だけど、それでもK高校の名前は勿論耳にしたことがある。
そうか、あの人頭いいんだなぁ……。
育ちもいいんだろうか。じゃないと男子でハンカチなんて持ってなくない?いや、男子も持ってるか。そういやうちのクラスの男子も……、うん、持ってるの見たことある。


あたしなんて手ぇ洗った後はパッパッて水を飛ばすか、髪の毛直す道具に使っちゃうけど……。


などと、あたしがどうでもいいことを考えてる横で、「男子校だったよね」と麻友がぽつり。
頭いいことは知ってるけど、そこが共学かどうかなんてことは知らなかった。
そうかそうか、男子校なのか。


「つか、そっちに乗り込んだが早くない?」

「おぉ……。麻友頼りになる」

「よし、そうと決まれば行こう」

「え!一緒に行ってくれるの?」

「男子校に女子一人で乗り込める?無理でしょ」

「あたしの小さな心臓は耐えられません」

「でしょ」

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