ひつじとライオン
「…っは?」
思わず立ち止まり、一瞬の間の後俺は小さく声をあげた。
『ん?どしたー?』
「あ、いや……。いま女が」
『うん?』
「花壇に突っ込んだ」
『はっ!?』
悟の驚きの声は俺とは違い、少し笑いが混じっているものだった。
だが俺は違う。目の前の出来事だ。
自転車の後輪が僅かに高くあがり、ガシャーン!と金属音の混じった音と共に「ぬぉぉぉぉ!」という不可思議な声が響いたのだ。
そして見える姿は倒れた女。
の上に乗っかっている自転車。