忠犬カノジョとご主人様
「よっし、今日は回鍋肉作ろう!」
私は5分だけ休んで、すぐに着替えて夕飯の準備をした。
家政系の女子大に通っていたから、料理だけはできる。
昨日は和食であっさりだったから、今日は味付けも濃い目にして食べ応えのあるものにしよう。
副菜も昨日作り置きしといた春キャベツとちりめんじゃこの酢の物と、あともう一品植物性たんぱく質が豊富な何かをつくろう。
そうだ、豆腐が残ってるんだった。湯豆腐のえびそぼろあんかけとかどうかなあ。
ああでもでもそうするとたんぱく質摂りすぎになっちゃうかも…。じゃあ少し回鍋肉のお肉を減らして、野菜を多めにして…。
そんな風に考えていると、ガチャッと扉が開いた。
急いで玄関まで行って、荷物を預かりに行った。
「おかえりなさい!」
「ただいま」
「今日は回鍋肉だよー!」
「あー、美味そうな匂いする」
「へへ」
「でもごめんちょっと先に寝かせて」
「え」
「先に食べてていいよ俺起きたら勝手に温めて食うからじゃあおやす…」
「待って!! ソラ君寝ないで!! せめてベッド行こ!!」
「んー分かった分かったまた今度ね」
「何が!?」
ソラ君は急にパタッと寝てしまう。
私に荷物を預けると、ソラ君はそのまま私にもたれかかって寝てしまった。
私はそんなソラ君を引きずってなんとかソファーに寝かせた。
いくら細身のソラ君でも、女の私が引きずって運ぶのは結構しんどい。
ソファーで死んだように眠るソラ君の寝顔を見つめた。
少し伸びた前髪を、そっと耳の方へ流した。
相当疲れてるんだなあ……。