忠犬カノジョとご主人様

分かってはいるけど、ここ最近このパターンが続きすぎてそろそろ床にソラ君をひきずった跡がつきそうだよ。

彼は、気づているでしょうか。

もうここ2週間一緒にご飯を食べていないし、ろくに会話もしていないってことに。

もちろんそういうことなんてもう3カ月以上していない。


……ソラ君、あなたとちゃんと会話をしていない間に、

あなたが楽しみにしていた新ドラマはもう放送3回目をむかえたし、

同棲をしてからあなたが買った小さな観葉植物は、なぜか枯れてしまいました。

ドラマは全部録画してあるし、水もちゃんとあげていたのに、なぜでしょう。

そのことをあなたに伝えたいのに、そんな時間も私達の間には無いのでしょうか。



ソラ君、私があなたの毎日に入り込む隙間は、無いのでしょうか。

あなたの言う従順とは、やはり、おとなしく人の言うことをよく聞くこと、なのでしょうか。



「ソラ君……」



疲れて寝ているあなたにキスをすることが、今の私の寂しさを紛らわす方法だってこと、

あなたに知られたくないな。

不安になってる私を見たら、ソラ君はきっと、私のことを面倒くさいって思うもの。




「双葉さん!」

出社早々、新人の八神君が元気にあいさつをしてきた。

「おはようございます!」

「八神君、今日もはやいね~」

「はい! 僕朝強いんで!」

「今日もマラソンしてから来たの?」

「はい!」

「若いっていいな~」

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