*総PV2億突破御礼*完
今日もレッスンを終えて、カフェへと向かう。
黒髪の彼がいるかどうかは、テラス席に人がいるかってことでわかる。
だって、女性たちに大人気なんだもん。
けれど、今日はテラス席には人はいなくて。
今日も彼はお休みなのかなと思いながら、入り口の扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
「え?」
声をかけられて、驚く。
だって目の前にいたのは、黒髪の彼だったから。
し、心臓止まるかと思った。
てか、一瞬ぐらい止まったよ。
「おひとり様ですか」
「あ、はい……」
緊張からか、消え入りそうな声でしか返事ができない。
あーもっとちゃんとしなきゃ。
せっかく彼がいるのに!
そう思っても、自分の思い通りにはなかなか体が動いてくれない。
抑揚のない、無愛想でハスキーな彼の声。
でも、どことなく甘く感じるのはあたしの気のせいだろうか。