*総PV2億突破御礼*完
「ひゃあっ!」
あまりにもビックリしすぎて、変な声が口から漏れる。
「コーヒーよりアイドルに夢中とは」
低音のハスキーボイスで苦笑気味に言うのは、黒髪の彼……高瀬さんだ。
え、ウソ。
彼、来てたの?
テーブルの上には、淹れたてであろうコーヒーのカップが置かれている。
ぜんぜん気が付かなかった。
茅那ちゃんに夢中だったよ。
あたし、ひとつのことに夢中になると周りが見えなくなる傾向があるから気をつけなきゃって思っていたのに。
ほんと、ありえない。
せっかく彼と絡む機会だったのに!
憧れの人の前で失態を見せたことに落ち込んでいると、彼が話しかけてきた。
「そんなに、そのアイドル好きなのか?」
「え、はいっ! 大好きです!!」
これでもか、ってくらいにブンブンと首を縦に振る。
茅那ちゃんは大好き! アイドルの中で、芸能人の中でいっちばん好き!
この気持ちが伝わるようにひらすら頷いて見せる。
そんなあたしを見たからか、高瀬さんはブハッと噴き出した。