*総PV2億突破御礼*完
握り拳を作りながら、アパートのポストの前に立つ。
ウチのポストは、ドアの扉のようにつまみを引いて開けるタイプだ。
ポストの上にある小さな窓からは、封書やはがきが数枚入れられているのがわかった。
この中に、二次審査の結果があるかも……。
ガチャン、という音とともにポストを開けて郵便物を取り出す。
その場で郵便物の贈り主を確認した。
「あ……あった」
ハガキを数枚めくって見つけたのは、一次審査の結果が送られてきた時と同じオーディション主催者の会社名が印刷された封書。
B5サイズでシンプルな淡いブルーの封筒だ。
「よし、家に入ろう……」
「おじゃまします」
なっちゃんを家に招き入れる。
窓を開けて空気の入れ替えを行い、ひとまず紅茶を淹れた。
ダージリンの爽やかな香りを思いっきり吸いこみ、深呼吸をする。
「小春の部屋って女の子っぽくて可愛いね」
「そうかな? ふつーだよ」
何気にはじめてあたしの部屋に来たなっちゃんは、興味津々といった感じで部屋を見渡した。
部屋の中央にあるテーブルにティーカップを置いて、彼女の隣に腰を下ろす。
ダージリンの透明な紅い液体がカップの中で静かに揺れた。