*総PV2億突破御礼*完
髪色が違うから一瞬誰かわからなかった。
栗色に染めたのか、その女の子はさらに可愛くなってる。
確かに、高瀬さんが言うように金髪よりも似合う。
いつ見てもお似合いだと思ってしまう二人。
でもあたしの胸は苦しくなってきて……誰かに邪魔されているかのように呼吸することさえ難しい。
あたしに気付かない彼らはまだ話しつづける。
「早く行かないと映画始まっちゃうの!」
「8時からのやつだろ? 十分間に合うし」
「それでも早く行こうよ!」
高瀬さんの手を引く彼女。
しかし、彼女が急かすのが高瀬さんは面倒くさそう。
「なんでだよ……」
「久々にふたりで出かけるから……ちょっとでも一緒に色んなとこ行きたいって思うのダメなの?」
彼の手を掴んだまま、シュンと落ち込む女の子。
その姿を見て、少しだけ目を見開いた高瀬さん。
「悪かったな……」
ぼそりと謝罪の言葉を述べる彼に、パッと顔を上げた彼女は両手を伸ばして高瀬さんの頬を左右に引っ張った。