お母さんが肉じゃがとお茶をテーブルに運び、さぁ、食べましょ、と言って座った。




いつもより少し早いけど、あたしも座った。




「いただきます」




2人で手を合わせて言った。




肉じゃがのいいにおい。




お母さんが取り分けてくれているのを見てハッとした。



「ごはん!」



「あら、そう言えばそうね。よそってきてくれる?」



「はーい」




2人してごはんを忘れるなんて。




お茶碗を持って炊飯器を開けると。




「ちょっと、お母さん、炊飯器空っぽじゃん」




「えぇ?あ!お米がないんだった。葵、コンビニで買ってきてくれない?」




「んもぅ…しょうがないなぁ」





お茶碗を食器棚に戻して財布を持ち、んじゃ、行ってくる、と家を出た。
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