「はぁ。プータローのあたしがこんなに何回も外に出るなんて」




1番近いコンビニまで、歩いて3分。




大好きな肉じゃがが待ってるんだから、ちょっと早歩きで行こうかな。




とアパートの階段を降りると、まさかの。




「光…どっか行くの?」




よく会うなぁ。



ちょうど家から出てきたんだろう。鍵を締めながらこっちを見ている。



鍵が閉まったのを確認して、こちらに近づいてくる。



「散歩がてらコンビニ」



「コンビニ?あたしもごはん買いに行くんだ」



「おぉ、俺もや。もろうた肉じゃがを食すためにな!」




「あたしもそう。お母さんったらお米ないの忘れてたみたいで」




「よくあるやつやな」




「しっかりしてほしいよね」




「まぁオカンはやること多いしな。しゃあないっちゃしゃあないけどな」



あぁ、いい子なんだろうな。



あたしとは違って。




「葵?どうしたん?行かへんの?」




「え?あ、あぁ、行く」




あたしよりも年下の子があたしよりいい子なのがちょっと恥ずかしいな。




「大丈夫か?手伝ってくれたときも変やったし。具合悪いんとちゃうの?」




心配そうにあたしの顔をのぞいてくる光。




月明かりに照らされた光がなんだか妖艶で。




「ごめん、なんでもないの。ほんとに。大丈夫」




不自然に顔をそらしてしまった。
< 11 / 267 >

この作品をシェア

pagetop