夏休み中のある日。



マコちゃんと旅行に行った。

題して
『これから受験頑張ろう旅行』

どこからどう聞いても
バカが考えるような題名だ。



だけど、あたしにとってはとても支えになっていた。


光のことばかり考えて勉強が手に付かないあたしを見て、マコちゃんが考えてくれた計画。


マコちゃんだって自分の勉強があるのに。
2泊3日の沖縄旅行。


マコちゃんは誰よりも優しかった。
傍から見ればそりゃあ、カップルだろう。

けれど、マコちゃんは男じゃない。

関わっていくうちにどんどん女の子へなっていった。


変な意味じゃなくて。
純粋に、そこら辺にいるあたしみたいな平凡な女の子より、少し女子力が高い女の子。


顔は男の子。
制服も男の子。
髪型も男の子。
体も男の子。


だけど、あたしよりも誰よりも、心は女の子だった。
だから居心地がよかったし、親友みたいに近い距離になれていた気がしたんだ。



本当はそれが、手の届かないところに行くための第一歩なんて知らずに。
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