事実2
◇◇◇◇◇



マコちゃんの言った通りソーキそばはとても美味しかった。


ただ一つ心残りがあって。

本場のソーキそばを食べる前に、あたしの地元に売っているソーキそばを食べて比べてみたかった。


そうすればもう少し味わって食べられたかもしれないから。


美味しすぎて10分もかからずに食べ終えてしまった。
早食い選手みたいに。



あたしが先に食べ終えた時のマコちゃんの顔と言ったらもう…。


恥ずかしいったらない。


さっきから何度もネタにしていじめてくる。

こういうところはそこら辺の男子と同じ。


「だってすっごい早かったもん!
感動したよ!
男の人でもあんなに早くないよ!
本当にすごい!アハハハハ!」



こうやって。
ずっと。


「いい加減やめてよ!恥ずかしいってば!もう忘れて!」



「一生忘れないよ!アハハ、笑い疲れた…」


「もう笑わないで!!」



「無理!」


そう言って1人で大笑いしているマコちゃんを置いて歩く。



「あ!違う違う!今度はこっち!」



だけどあたしの歩く方向はマコちゃんの計画外らしい。
でもさっきこっちって書いてなかったかな?



「さっきあおいんにも地図見せたよね?」



そう。
ソーキそばを注文した後の数分間、地図を見せてもらっていた。


その地図には今戻っている道が書かれていたと思ったんだけど…。



「あおいんってもしかして方向音痴?」



ギクッ



「…なわけ…」



「あるんだー!知らなかった!」



「ない!!!」



また笑い出したマコちゃん。


もしかして人をバカにするのが趣味なの?



「迷ってもいいけど〜。せっかくのプライベート旅行だもんね〜」



笑うのをやめてポジティブなことを言ってくれた。



「そう、それを狙ったの」


「うそ〜」



2人して笑って。

結局は地図に記された道でも
あたしが間違った道でもない方へ歩いた。
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