side マコト



光に頼まれたこととは言え…。


僕の良心が痛むよ。


光の考えた通りになったけど。


光は何をしようとしている?


それも教えてくれず、ただ言う通りにしてくれって言われて。


ーーーーーーーーーーー


昨晩、葵がお風呂に入っている時。


タイミングよく電話がかかってきた。


『…もしもし。
光やけど』


「あ、うん」


『葵、泣かせてもうたよな』


「うん」


『俺が最低なんは分かっとるけどさ。
更に追い討ちみたいになってまうけどさ。
頼まれてくれんか』


「追い討ち…。
どんな頼み…」


『そっちの友達巻き込んでほしいねんけど』


「光、なんで僕がこっち出身だって知ってるの?」


『…調べた』


「本物のストーカーはひかちゃんじゃん。まぁいいけど」


『ごめん』


「いいよ。どうせお父さんが勝手に調べたとかなんでしょ?」


『まぁ…』


「ならひかちゃんは謝らないで」


『ありがとう』


「んで、どうすればいいの?」


『マコトとそっちの友達で盛り上がる場面を幾つか作って、葵を孤立させてほしい。
考えなくても、マコトが葵やない誰かと話せば自然とそうなると思うから。
そういうことに敏感な葵はすぐ孤立してると思い込むはずや。
そんで1人で帰らせてほしい』


「本当に追い討ちだね。
それでどうするの?」



『…時間を置いて旅館に戻って葵の話を聞いてやってほしい』



「…それはなんのための頼みなの?」



『…まだ言えん』



「…傷つけるのが目的ではない?」



『当たり前や!!!

…今は何も言えんけど、俺の言う通りやってほしい』



「…分かった。
ただし。最終的に葵が笑顔にならなかったら。
僕は光を許さないからね」



『そんときはなにされても構わん』



「分かった」



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