12時35分



「葵ちゃんって好きな人いないの?」


食堂でいつも一緒にお昼を食べている、あたし
一人
北條(ほうじょう)真奈美
赤羽(あかばね)沙都子
佐久良(さくら)イチル


の5人で恋バナがはじまった。


「好きな人は〜1年半くらいいないかな〜」


「てことは、その前はいたんだ!?
付き合ってたの!?
どんな人?」



沙都子はいつも、恋バナになるとグイグイくる…。

メガネが似合う2つ結びの可愛い女の子…。
優等生に見えるけど、恋バナが始まるともう別人。



「え、っと…付き合ってはないよ。
好きだったって自覚したのも、離れ離れになってからだったし」



「離れ離れ!?
なんかロマンティック〜憧れる!」


憧れ…か。


辛いだけなのに。



「で、どんな人だったの!?」


あんまり話したくないけど…もう過去のことだし。

沙都子以外も興味を示してるっぽいし。


仕方ない。


話そう。



「なんか、不思議な子だったよ」


「えっ、年下?」


「うん」


「いが〜い」
「うそ〜」

ここでようやく沙都子以外も反応した。


一人は…知ってるから。
何も言ってこないけど。



「何歳差なの!?」


グイグイ沙都子。


「2個下だったけど…」



「顔は!?写真ないの!?」


グイグイ沙都子。


「え〜あるかな…」


スマホの中の写真フォルダをスクロールしていると…。



「え!待って、止めて」



「え?」


沙都子があたしの手を掴んだ。


「ねぇ、これって…」


そして勝手にスマホを取って、ある写真を開いてみんなに見せた。


「誰?」

イチル。

「あぁぁぁぁぁ!!!!!」

真奈美。


「真奈美分かるよね!?」

沙都子。


「あー…」

一人。


「え、なに?」
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