19時52分


家のリビングにて。



「ところで、なんで悠希くんと一人は私の家にいるの?」



そう。


マコちゃんが帰ってからあたしたちも大学に戻ったわけだけど、授業が終わって大学を出ると、悠希くんが一人で立っていたのだ。


てっきり日帰りで沖縄に帰るものだと思っていたから驚いた。



そしてなぜか私の家に行きたいと言い出し、今に至る。



「マコがいいよーって言ってた」



いやいや、ここあたしん家だから。



「飛行機何時?」



私が聞くとキョトンとした悠希くん。



「今日は帰らないよ。葵が泊めてくれるって言うから来た」



「はあああああああ!?か、一人は!?!?一人の家は!?」



「俺!?やだよ、こいつうるさいし、一人暮らしなのに追い出されたらどうすんだよ」



「…うるさいの?」


追い出されるくらいうるさいの?


悠希くんに問う。


「今の葵の大声よりは静かだよ」


微笑ましい顔で言われたけど、全然笑えない!


「じ、じゃあさ!郁哉のとこ行きなよ!ね!」



同じ都内なんだからそっちでもいいよね?



「えー。面白くないよ、ふみちょんは」



「わがまま言わないの!大体ね、そういう大事なことは前もって言わなきゃダメなのよ?」



「マコがね、あおいんは断れないから成り行き任せでOKだよ〜って言ってた」



うわぁ…言いそう…。


「んも〜マコちゃんマジで許さない」



「オレのことそんなに嫌い?」



「えっ?」



そういうことじゃないけど…。


ご主人に甘える子犬みたいな目をした悠希くんには勝てないと思った。


「もう、分かったよ…。でもお母さんが帰ってきたら静かにしてね」



「うん!」



表情がパァッと明るくなった悠希くん。



かわいい…。
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