「ほんとにほんとにYは光だから」



まだ続くの?この話。
もういいんだけど。



「わかったから、もうやめてくれない?」



「葵には幸せになってもらいたい」



「この話してるとすごく不快」



「ごめん。
でも、山城光と話をして仲良くしてほしい」


「ねぇ。
どこまで知ってんだか知らないけど、余計なこと言わないでもらえる?
あたしだってギクシャクしたくてしてるわけじゃないし、もう仲直りしたし、光の気持ちもあるの」



「山城光は葵のこと好きだよ」



「は?勝手なこと言わ…」



「違うもん!これだけは絶対言うなって言われたけど言う!
山城光はお父さんに脅されて芸能界に入ったの!
葵と縁を切って芸能界に入って有名にならなかったら、葵の将来をぶち壊すって!
山城光は芸能人になりたくもないし、葵との関係も続けたかったって!
葵のせいで山城光が荒れるなら、葵との関係を断ち切ればいいって、言われたんだよ!
芸能界に入れば新しい出会いもあるし、もっといろんな人から必要とされるだろうから、葵のことなんてすぐ忘れるって!
葵の人生をめちゃくちゃにされるくらいなら、忘れた方がマシだって言ってたよ。
なのに大ファンになっちゃって握手会とかで会わなきゃいけなくて複雑だって、こんな形では会いたくないって言ってた!」



嘘だと思いたかったけど。


悠希の必死さゆえ、嘘をついているようには見えなかった。



悠希くんが泣きそう。


どうして?


信じてもらえないから?


女々しい男の子は好きじゃないんだけどな。


「…オレ葵のこと好きだから、葵が好きな人と幸せになってくれれば、オレは幸せ。
不快な思いさせといて、こんなこと、信じてもらえないのは分かってるけど。
知ってほしかった。
ごめんなさい」



「ちょっと待って、好きってどういうこと?」



「彼女にしたいと思ってたけど、見てるだけにする」



「冗談が上手だね」



「本当なんだけど」



「わかったわかった」
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