アパートに着いて優輝さんと一緒に降りた。



「優輝さん、どこか泊まるところあるんですか?」



「これから探す」



「お礼になるかは分からないけど、家に泊まりませんか?」


「悪いからいいよ。しばらくいるから
またなんかあれば呼んでくれれば」


「…分かりました。本当にありがとうございました」


「おう」



駅方面に歩いて行った優輝さん。


階段を上って家に入った。


「葵?もう、勝手に出て行かないで」


お母さんがあたしを抱き締めてくれる。


「ごめんね、心配かけて。
でももう、大丈夫」


気分が晴れて清々しい気持ちになっていたあたしは油断していた。


人を信じるということは、とても怖いことだと。


この後身を持って知ることになるなんて。
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