妄想って。


makoと連絡取ってたのも、会ってたのも知ってるじゃん。


それを知らない人がここにはたくさんいる。


私を本当の妄想女と認識してしまう人がいるかもしれない。


冗談じゃない。


ここにいるのがみんな敵なら
戦うしかない。


バッグを投げ捨てて沙都子のところへ行く。



「待って、なんか来るんですけど」


沙都子の目の前に行って睨む。


「…なにさ」


沙都子は小声で反論してくる。


「沙都子ならどうする。
大好きな人と会えないときに
本気で応援してるアイドルがいて
まったくの他人からその2人は同一人物だって言われたら。
沙都子は根拠のない言葉を信じて確かめに行くの?そのまま知らないふりして応援するの?」



「そんなの信じるわけないじゃん」



「あたしも信じなかった。
信じずに悠希くんを1人で駅まで行かせた。
そしたら事故に遭った。
沙都子も今あたしと同じことをしたよ?人のこと言えんの?」



「都合のいい方に合わせてるだけでしょ」


「思うのは勝手だよ。
あんたの言葉で私が死んだらあんたも人殺しなんだからね」


「死ねるの?」


「死ねるよ」


「じゃあここで死んで?」
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