「葵、座って」


救急箱なのか、四角い箱から消毒液やら包帯を取り出して、あたしの首を消毒してくれた。


「いたっ…」



「当たり前やん…。
もう2度とこんなんせんといて」


「…ん」


「マコの事務所に行こうと思うねんけど、一緒に行ってくれるか?」


会いたくない…。
けど、逃げたくもない。


「ずっとそばにいてくれる?
2人きりにしないでいてくれる?」


「おるよ。ずっと隣におるよ」


真っ直ぐあたしを見つめて答えてくれる。


光って、こんなに優しかったんだね。

忘れちゃってた。
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