マコちゃんはいつからこんな風になってしまったんだろう?


原因はもちろんあたしにあるけど、
一体いつから?


あたしはいつも光のことしか頭になくて、他に考えることといったら自分のことばかり。


マコちゃんのことなんて全然気にしていなかった。

全然どころか、気にしたことがなかったかもしれない。


無神経な性格、直したい。


マコちゃんはゆっくり光の上から降りてタブレットケースを拾い、またガリガリとたくさん食べた。


「マコ、それなんの薬」


起き上がってマコちゃんを鋭い目で見た光。


あたしも気になっていたことだ。


「これー?

精神安定剤。
葵も食べる?」


食べる?って…飲むものでしょ?


「ガリガリ噛むとね、スーッと落ち着いていくんだ。
数分間だけ」


「でも段々と効果が切れてね、人をいじめたくなるんだ…。
傷付けたくなる…」


1人でしゃべり続けるうちに、マコちゃんの息が上がっているのが分かった。



「それいつから服用してんの」


光が悲しそうに訴えた。


「分かんなーい。
恋人級に持ち歩いてるし、そんなのいちいち覚えてないよ」


「今すぐとは言わん。
噛むのやめてくれへんやろか」


「なんで?」


「むっちゃ嫌な音や」


光が言った瞬間、怪訝な顔をしたマコちゃんは、光の目から何かを感じたらしく、タブレットケースを突っ立ってる男性に渡して小さく。


「分かった」


と言った。


あたしには何が何だか分からなかったけど、マコちゃんは続けてこう言った。


「ひかちゃんは前からずっと、優しいね」


マコちゃんの表情は前のようにとても優しかった。


一瞬でもその顔が見れて、緊張がほぐれたあたしの目から涙が流れた。


「辛い思いさせて本当にごめん。
2人には取り返しのつかないことをしてしまった」

光が急に謝った。
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