「父親の言いつけとは言え、自分勝手すぎた。
ここまで追い詰めてしまったこと、心の底から後悔しとる」


光の話をマコちゃんは黙って聞いていた。


「もう決心はついたから、ちゃんと終わらせようと思う」



決心?

終わらせる?


何のこと?


「それでいいの?」


マコちゃんには伝わってる…?


「自分の体裁守って人を傷付けるくらいなら。
縁を切ったほうがいい」


縁を切る…って、
お父さんのこと?



「そっか。
光なら守れるよ。
葵のこと。
僕みたいに傷付けないであげてね」


「マコも、一緒に」


「僕は大丈夫。
ちゃんと前を見て歩くから、光は葵だけを見てあげて」


「あの、ちょっと話が…」



さっきの2人からは想像もできないくらい穏やかな空気の中、頑張って割って入った。


「ごめんね、あおいん。
疫病神なんて思ってないんだ。
言い訳になっちゃうけど、最近コントロールが利かなくて…。
だからその分、これからしっかり支えていきたい」


「俺も、ごめん…」



真剣に謝る2人を見ていると涙が止まらなかった。


嫌われてなんて、いなかった。


そう分かって嬉しい涙が延々と流れ続けた。


息が上がっているのを必死に抑えるマコちゃんは、とてもとても強い人だった。
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