2月14日


バレンタインデー。


光と揃って休みを取りたかったけど、人が足りないとのことでそれは叶わず、代わりに同じ時間帯にシフトを組んでもらった。



お店の人はみんなあたしたちが付き合っていることを知っている。


中には光がYだと知っている人もいる。


誰も文句を言わずに見守ってくれるいい職場だ。



ちょっとオシャレなフランス料理店だから、バレンタインやクリスマスなど、カップル向けのイベントの時は予約が絶えない。


今日もほぼ満席。


注文を取りに行った席の人に、『あなたたちお似合いね』と褒めてもらった。


たまたま後ろに光がいたのだ。


嬉しくて2人でにやけてしまった。


いわゆるラブラブカップルである。


裏に行くと光もあたしもハイテンション。




仕事が終わって22時。


少し遅いけど食事に行こうと誘ってくれた光が連れてきてくれたのは、都内の高級レストラン。


楽しく喋りながら美味しいひと時を過ごしていたら、店員さんがケーキを持ってきた。


頼んでないと伝えようとすると光が…。



「ハッピーバレンタイン!葵!逆チョコやで!」



子どものようにはしゃぎだした。


「もーびっくりするじゃん。ありがと〜。惚れ直した」


「えへへ」


照れ笑いする光が可愛くて仕方なかった。


あたしもケーキ作っちゃったんだけどな…。


「今食べる?持って帰る?」


「んー。家でゆっくり食べたい」


店員さんが失礼しますと言ってケーキを下げた。


明日別のやつ作ろっかな。
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