「あ、お母さん。
今日ね、光に料理を教えるから、晩ご飯光と一緒に食べるの」




昨日あのまま寝てしまったから、お母さんに伝えておかなければいけなかった。




「あら、そうなの?」




通常より少しだけ目を大きく開いて聞き返すお母さん。




「ごめんね。お母さん一人になっちゃうけど」




家事もなんにもしないでグータラしているあたしに、いつもおいしいご飯を作ってくれるお母さんに申し訳なくなって。




サンドイッチを食べる手を止めて謝った。




「ううん、いいのよ。今度はここで光くんにご飯を作ってもらうから。
だから葵、しっかり教えて来なさい」





あたしのお母さんは優しい。




マザコンとか言われたって、別にいい。




お母さんのこと、大好きだもん。




逆に、マザコンであることのなにが悪いのよ。




人をそれだけ愛せるって、素敵なことじゃない。




いつからこんなにポジティブに考えられるようになったんだろう。




「うん、分かった!」
< 24 / 267 >

この作品をシェア

pagetop