side 優輝




あの時、あいつは言った。




『可能であれば、優輝が葵を幸せにしてあげてほしい。俺みたいに一生を捧げろなんて言わないから、どうか、辛いことがあったら慰めるとか、一人ランチするとか言い出したら一緒に行ってあげるとか、そんなことだけでも、優輝に託してもいいか?』




あの時のあいつの潤んだ目を見れば断れるわけがないだろう。


俺は葵が好きなんだから、尚更。



俺が幸せにしてあげられるなら、そんなチャンス逃すわけないだろう。



俺は光のために葵を抱くんじゃない。



自分の意志で葵を世界で一番幸せな女にしてやるよ。
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