春
side 葵
観覧車の列に並んで優輝と話していると、後ろから子どもの泣き声が聞こえた。
条件反射的な感じで振り向くと、困った顔をした、光の姿があった。
あっち行くの!と泣いている子どもが指差す方向は紛れもなく、あたしたちの目の前の観覧車だ。
子どもをあやしながらチラッとこっちを見た光がすぐに目をそらして背中を向けた。
…気付いてたんだ。
だから逆方向に行こうとしたんだね。
そしたら泣いちゃったと。
「あれ、光だね」
「あ、あぁ、ほんとだな。葵、平気なのか?」
「ん?だってもう相当前だし、あっちはあっちで家庭があるし、今あたしの隣には優輝がいるし。なんにも問題ないけど?」
「そっか。強くなったな」
未だ、あっち!と怒る子どもの気持ちを考えて、あたしたちは列から外れた。
少し歩いていると泣き声が止んだから振り返ると、光は観覧車に向かって歩いていた。
優輝から真実を聞いた後で恋人同士になって、優輝のお友達さんに手を借りて、光への嫌がらせ犯を警察に突き出すことに成功し、今は何もなく平和な日常を過ごしている。
優輝はいつもたくさんの愛をくれて、涙が出そうなくらい幸せな日々を過ごさせてくれている。
実は、あたしのお腹にも新しい命が芽生えた。
5ヶ月だ。
だから観覧車くらいしか乗れるものがないんだけど、お預けってことで。
観覧車の列に並んで優輝と話していると、後ろから子どもの泣き声が聞こえた。
条件反射的な感じで振り向くと、困った顔をした、光の姿があった。
あっち行くの!と泣いている子どもが指差す方向は紛れもなく、あたしたちの目の前の観覧車だ。
子どもをあやしながらチラッとこっちを見た光がすぐに目をそらして背中を向けた。
…気付いてたんだ。
だから逆方向に行こうとしたんだね。
そしたら泣いちゃったと。
「あれ、光だね」
「あ、あぁ、ほんとだな。葵、平気なのか?」
「ん?だってもう相当前だし、あっちはあっちで家庭があるし、今あたしの隣には優輝がいるし。なんにも問題ないけど?」
「そっか。強くなったな」
未だ、あっち!と怒る子どもの気持ちを考えて、あたしたちは列から外れた。
少し歩いていると泣き声が止んだから振り返ると、光は観覧車に向かって歩いていた。
優輝から真実を聞いた後で恋人同士になって、優輝のお友達さんに手を借りて、光への嫌がらせ犯を警察に突き出すことに成功し、今は何もなく平和な日常を過ごしている。
優輝はいつもたくさんの愛をくれて、涙が出そうなくらい幸せな日々を過ごさせてくれている。
実は、あたしのお腹にも新しい命が芽生えた。
5ヶ月だ。
だから観覧車くらいしか乗れるものがないんだけど、お預けってことで。