スラリと高い身長。
優しそうな笑顔。
優しい声。


春馬はとてもかっこいい男の人にキャッチされていた。



「あの、すいません!ありがとうございます!本当にありがとうございます」


助けてくれた男の人に全力でお礼を言う。


振り向きながら春馬に声をかける男の人。



「お母さんに心配かけちゃだめだろ?ごめんねって言うんだよ」




懐かしい声。



変わらない。



1つ変わったのは、標準語で喋っていることだけ。



そっと降ろされた春馬は今にも泣きそうな顔をしている。


「怖かったね。泣かないでよく頑張ったね」



春馬の頭を撫でながら微笑む光は、とても優しいお父さんの顔をしていた。




「お父さ…パパー!パパかっこよかった!!愛菜、パパ好き!」




さっきまでお母さんとケンカしていた女の子は、優しいパパの元へ走ってきた。




「パパ嬉しいぞー!」




本当、優しすぎるくらいだよ。




「愛菜ちゃんって言うんだね、こんなにかっこいいパパで羨ましいよぉ〜。春馬のパパはね、グータラでプータローのパッパラパーなんだよ〜…あ、いてっ」



「誰がパッパラパーだよ。ふざけんな」



愛菜ちゃんに向かって腰を屈めて喋っていると、後ろからゲンコツが降ってきた。



「子どもの前ではそんな言葉使わないでって言ってるでしょ!?ゲンコツ返し!」


「いって!」



「ふふふふ、仲が良いんですね」



まるで子どもみたいにはしゃいでいると、愛菜ちゃんのお母さんに笑われてしまった。



「「よくないです!」」



愛菜ちゃんのお母さん。


光の奥さん。



「旦那さんイケメンで羨ましいです。うちのなんか見てくださいよ、この仏頂面。子どもに悪影響ったらないですよ〜」



「てめー!まだ言うか!おい光!黙って見てねーで反論しろよ!」



「春馬くん、お父さんの顔真似はしちゃだめだよ?」



「うん!」



「はぁあ!?」
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