ちょっとの間だけ、気まずかったけど。




すぐに気まずさはなくなった。




「あれー?葵じゃん?」


「ほんとだー!」




スーパーまでは10分くらいで、半分くらい歩いたところで学校の『友達』の
由美

真央
に会った。




「なになに?彼氏?」

「やばめじゃん、めっちゃいい男!」




由美と真央は近付いて来るなり光を見た。




「あー…アパートに引っ越してきた子でね、若葉に入学するの」




「へぇ?
はじめまして!渡辺由美でーす。葵と同級生!よろしくー」


「あたしは佐藤真央!よろしくね〜」



「ど、どうも。山城光です」




あれ?なんかあたしの時と違う…?



もっと馴れ馴れしくて、堂々としてたような気がするんだけど…。




「え!?待って!どこから来たの!?」



イントネーションの違いに気付いた由美が光に詰め寄る。




「大阪…です」




「そーなんだー!?あたし方言憧れてるんだー!なんか喋って!」



「え…」



「ちょっと由美、引いてるじゃん。やめてあげなよ。
ねぇね光くん、葵とはどうゆう関係なの!?」




由美を止めてくれたかと思えば、今度は真央が光に詰め寄る。




「いや…どういうって…」




「もう!由美、真央。同じアパートに住んでるただの後輩だから!」




「あっ、そ。つまんないの。
お取り込み中悪かったね。
じゃ」




一気に熱が冷めたように由美が言い放ち、足早に去って行った。




「ごめんね、光」




「ううん。あれ、友達?」




「…まぁ」




「そんな感じせんかったなぁ。
嫌いなタイプやわ」




そう言った光がなんだか怖かった。




「行こ?葵」




「う、うん」
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