「式辞って入学試験首席が読むんだよね?葵より頭いいんだ〜」




「そうみたいだね…」




式が終わって教室に戻る途中、綾美が言った。



「んでもさ、なんで生徒会長だろうね?この前決めた人はどうなったんだろ?」




たしかに。



謎は深まるばかりだった。




「なんにも聞いてないからあたしも分かんないや」




「家が大金持ちとか?」




「そしたらもう少しいい家に住むと思うなぁ」




大金持ちだったらあんなボロアパートに来るわけないよね。




「そっかぁ。気になるね」




また綾美の目がギラギラしてる…。




「帰り、聞いてみるよ」




「へぇ!一緒に帰るんだぁ」




「道が分かんないらしいから…最初のうちは…」




「なんでよ、ずっと一緒に行けばいいじゃん」




だから…その思ってないことを言うような胡散臭い目、やめてってば…。




「光だって、そのうち友達とかできるだろうし…」




「そっかそっか、光くん思いだねぇ。やっさし〜」




あぁ、苦手な子だなぁ。
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