17時30分




「あれ…」




いつの間に…あたし寝てたんだ。




帰って来てから電気も付けずに寝転がったから、小さな窓しかない部屋は結構暗い。




寝過ぎだなぁ…。




それでも全然寝足りないなんて、あたしの体はどうなってるんだ。




「ふぁあ…」




あくびが止まらない。




コンコン




「葵、これ、山城さんに届けてあげて」





ノックの直後にドアを開けたのはお母さんだ。




紙袋を持っている。




「なに?それ」




顔だけ起こしてお母さんに聞く。



「肉じゃが作ったの。実はさっきね、葵が来る前に料理を届けるって約束したのよ」





はぁ?



なにそれ。




「お母さんが行けばいいじゃん」





なんであたしが行かなきゃいけないのよ。





「お母さん食器洗ったりしなきゃだから。お願い、行ってきてちょうだい」




「もーわかったよ」




行けばいいんでしょ、行けば。




「お願いね」





勢い良く起き上がってお母さんから紙袋を受け取る。





お母さんはありがと、と言ってあたしにパーカーを渡してきた。




パーカーを羽織って勢い良く階段を降り、家を出た。
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