20時35分




ブー ブー




晩ご飯を食べ終えまったりとした時間を過ごしていると、メールの着信があった。



誰だろう。



ゆっくり画面ロックを解くと、光からのメールだと分かった。




ーー葵のアホ ボケ もう学校一緒に行ってやらんもん




という謎の内容だった。




学校一緒に行ってやらんもん

って…。



あたしは頼んでないし。



ていうかなんでアホ、ボケ、なんて言われなきゃいけないのよ。



ムカついて電話をかけた。



『なんやねん!』



呼び出し音が鳴るか鳴らないかの際どいタイミングで電話に出た光。




その声はいじけたような、怒ったような声だった。




「なんであたしがアホでボケなのよ!」




『なんや不満かボケナス!』



「はぁ!?」



『葵がさっさと帰ってまうから俺が振られたみたいになってんぞ!』



「な、なによそれ?」



『どんだけ恥ずかしい思いしたか分かるんか!』




「あ、あたしのせいじゃないわよ」




『あぁいう奴ら嫌いやから葵と一緒に帰りたかったんに!』



「知らないわよ!そんなこと聞いてないもん!」




『学校でも葵と喋りにくぅなるしさぁ!』



「なんで?」




『当たり前やんか!未練タラタラのチャラ男やと思われるわ!』



「そんなこと思わないよ」




『葵は大人やからやろ。俺らの代はまだまだ子どもやねん!』



「んもう、知らないわよ。学校で話せなくてもこうやっていくらでも話せるでしょ!」



『そうやないの〜!』



「も〜なんなのよ…」



『もうええわぁ。ほんじゃあな』



「え、ちょっと、なにも解決…」



ブツッ プー プー プー



意気消沈した感じの光が一方的に電話を切り、あたしはさみしくスマホを耳から離した。
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