きっとあたしは気付いていたんだ。
だけど気付かないフリをしていた。

それがなんのためかは分からないけど。




あたしたちはいつも徒歩で登校するから、駅やバス停とは無縁だった。
そのせいか駅やバス停、人が集まるところは苦手だった。
けれどやっぱり。
ほとんどの飲食店は駅周辺にできてしまう。

あたしの大好きなワッフルのお店、フラボンだって駅ビルの中だ。


本当は行きたくなかったけど。
案内がてらいいかな、と思った。
あの空気も嫌だったし。
ワッフルが好きなのも本当だし。



フラボンに行くのは数ヶ月振り。
あんまり自覚はなかったけど、ボッチだったからいつも1人で行っていた。
あたしくらいの年の子が1人で行くなんて珍しかったんだと思う。
店員さんはあたしのことを覚えてくれた。


けれどもう覚えていないと思う。
店員さんも変わってるかもだし。
< 70 / 267 >

この作品をシェア

pagetop