浅葱色に射す一筋の光
翌朝、朝餉を食べた後…芹沢の部屋に来ていた。
翔「何で火を放ったんですか…?」
芹沢「金策を断られたこと……後、町民は生糸を買い占め値上げしていたことに憤慨してたんでな…」
翔「っっっ!!!」
芹沢「俺は…悔いてはいない…」
翔「何故…生き急ぐのです…」
芹沢「梅毒…もう長くはない…それに…俺は水戸で死んだ。もう良いんだ…」
翔「……生きて下さい…梅ねぇの為にも」
芹沢「梅には言ってある…いつでも覚悟をしとけ…と…」
翔「…だから昼から自棄になってお酒を飲んでたんですか?」
芹沢「ふっ!」芹沢は鼻で笑い、酒を煽る
翔「……私は、覚悟できてません…」
ポタポタと畳を濡らしていく。
芹沢「…壬生浪士組は…今底辺だ。これより堕ちようがない…これから、信用を上げていき、壬生浪士組をでかくするのは…近藤だ!」
翔「……ひ…必要悪…ですか…グスッ!」
芹沢「そう言えば聞こえは良いがな…俺は壬生浪士組の土台を作っただけだ」
翔「…新撰組…」
芹沢「あん?」
翔「間もなく…松平容保様から新撰組と言う名を戴きます。グズ…そして…いずれ…新撰組は幕臣になります…グズ」
芹沢「…そうか…」
翔「…せ…芹沢さんが…土台を造ってくれたから…新撰組は咲けるんです…グズ…今は…疎まれる組ですが…私の時代では…グズ…新撰組は英雄です…グズ…私は芹沢さんが…大好きです! う~…ぁ…私は芹沢さんの死を受け入れられない!!」
芹沢は翔をきつく…きつく…抱き締めた
芹沢「泣くな…じゃじゃ馬…俺は…先の世に残せたんだな…これで…笑って逝ける…梅を連れ出せよ…俺の最期も分かってんだろ?」
翔「ぅ…ぅ…芹沢さん…」
土方「(入りにくいな…あいつ…芹沢さんの前では泣くのか…)…………芹沢さん……土方です。………入ります」
スッ
土方「翔を連れて帰ります…」
翔は芹沢からゆっくり離れ、裾で涙をゴシゴシ拭いた。
土方「…失礼します」
スッ
土方の後ろを歩き、部屋まで黙って歩いた
部屋の襖を閉めたとき、抱き締められた。
土方「…泣くな…」
翔「…もぅ泣いてない…」
土方「…泣いて良いぞ…」
翔「どっちだよ!!」
土方「…松平容保様より、芹沢さんの処置の命が下された…」
土方は翔の頭をゆっくり何度も撫でる
翔は目をギュッと閉じ、歯を食いしばった
土方「…俺も…芹沢さんには感謝してる。俺も…素面の芹沢さんを尊敬してた…」
翔は…土方の言葉に…我慢の限界が来た
芹沢さんは……みんなから愛されてたんだ…。 みんなから必要とされてた…。
良かった。史実と違う真実…
私は…本当に…芹沢派も近藤派も…
大好きです…
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こうして大和焼き討ち事件は幕を閉じた