浅葱色に射す一筋の光

現代





      優輝菜「ん?」 


    サイレンの音? 潮の香り?


    目を開けると…江ノ島だった


  戻っちゃったの? マジ? ヤダ……


   しかし、優輝菜が見た光景は


   泣き叫びながら優輝菜を呼ぶ翔…


   警察に連行されるところだった…


   救急車に運ばれる血塗れの優輝菜…


     ゼファーは滅茶苦茶だ………


    その瞬間…景色が変わった…  


      優輝菜が眠る病室


  すすり泣く声…優輝菜に繋がれている




      人工呼吸器…  



      その機械音… 



      病院の匂い




   優輝菜「パパ ママ 優衣」



     私の声は届かない…  



    姿も……見えてない???


 
     また景色は変わった…



       昼間の病院…



   パパとママが先生と話してる…


   先生「現状は…脳死です。

   優輝菜さんの免許には………………

   臓器提供の旨が書いてあります」



 パパ「………まだ……生きてるんですよ…」


   先生「しかし………………………

    回復の見込みはありません…」


 パパ「………娘を………殺せと……?」


  先生「……………………………………」


  パパ「私達夫婦も医者です……

  あなたの立場や言っていることも

       理解してます……

   でも……私達には……出来ない………

      申し訳ない……」


  先生「そう…ですか…………………

    まだ時間はあります。

 娘さんの意志もくみ取ってあげるのも……」



  パパ「まだ温かいんです…
   
     息をしているんです。

     生きようとしてる……

     産まれてから…今までの娘が…

     走馬灯のように蘇るんです!

     私達には……無理です!!!」



 先生「娘さんは…人工呼吸器を外したら…

       生きられません…

      辛いのは分かりますが…

    生かされているだけなんです…」


  パパ「お前に…私達の辛さの

      何が分かるんだ!!!

     子供を持ったこともない…

    若僧に…何が分かるんだ!!!」


  先生「……………………………………」  



  パパ「この話は終わりだ!!行くぞ!」 



 パパの隣で泣いているだけのママを連れて

       部屋を出た……………



 優輝菜「ごめん…ごめ…苦しめてごめん」


  
  1人泣きながら呟く優輝菜の声は

     誰にも聞こえない…



  病室では、パパとママが優輝菜の手を

     握りながら泣いている…


  パパ「優輝菜?パパだよ…起きなさい…

   起きてくれ。頼むから…頼む優輝菜…

       起きて………………」



     ママ「ゆき~…ゆき~」



  優輝菜「う…ぅぅぅ…パパ…ママぁ~」



  
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