理想の彼氏
久しぶりに巻く髪。
夜だから少しゴージャスっぽく顔周りを外巻きにして、ちょっとセレブ感を出してみた。
BARの暗闇でも人目をひくようにすこし濃い目で大人な化粧をした。
「リップは・・・赤・・・だとすこし夜の女感出過ぎ・・・だな」
あたしは久しぶりにワクワクしてた。
少し短めのワンピースを着て鏡の前でくるりと回って自分なりに少し大人っぽい表情をしてみた。
「いけんじゃね???」
自分でいうのもなんだけど、ほかの人には毎回ではないが
「かわいい」だとか「きれい」と褒められるくらいの容姿はしている。
なのに、なぜ私にはまともに「彼氏」というものができないんだろう・・。
そもそも褒め言葉がお世辞なのかもしれないが・・・
そんなこんなで時計を見ると約束の1時間前になっていた。
「おっと。でなきゃ」
邪魔にならぬよう小さめのバッグをひっつかんで
赤いラインストーンの光るハイヒールを履いた。
-あたしがこの靴を置いてったら王子様が拾わないかしら-
そんなロマンチックな妄想を胸にドアノブに手をかけた。
「いってきます」
誰もいない部屋に一言残して