理想の彼氏

ゆっこも彼をお気に召したようだった。

『あの隣もいいねー白のTシャツ。』

確かにとなりの彼も捨てたもんじゃない。
黒Tの男より少し低めの身長にちょっと明るめの茶髪、愛らしい大きな瞳にゴールデンレトリバーを思い出す。


『ここが大人の女の見せどこじゃねーの?』
そう言うゆっこは持っているお酒をぐっと喉に流し込み
大音量で流れるラブソングに合わせて踊り始めた。

『ほら、あんたも!』

ゆっこはセミロングの綺麗な髪を揺らした。
髪の隙間からゴールドのピアスがチラチラって揺れて見えてライトに照らされて綺麗だった。


あたしも人の事は言えないが下品な性格がなければゆっこはなかなか上等な女だ。
[残念系美女]この言葉がぴったりであたしはそんなゆっこが大好きなのだけれど。

「おっけい!」そんな事を頭に思い浮かべつつあたしはゆっこの手を取った。

お酒の力があたしを大胆にさせる。
周りはあまり見えなかった。

ただその時のあたしは自分にすこし自身があった。


〈ねえ君たちかわいいね。一緒に飲まない?〉

あたしの世界に誰かが声をかけた。割り込まれてすぐそっちの方を反射的に向いた。
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