部長に恋して。
section1発進
新社会人になって半年。

最初は着慣れずムズムズしていたスーツも、オフィス向きなおとなしメイクも板についてきた。

パンプスで歩くのも慣れたし、ラッシュ時の満員電車にも上手く乗り込めるようになって。

「このど阿呆!」

朝イチから食らうこの怒声はもう日課になった。

「はいぃ!すみませんっ」

ああ、私の1日が始まった、なんて感じる。

なんだか最近M的傾向が否めない10月初め。

誕生日を1ヶ月後に控えた私は、昨日彼氏に振られたばかりだ。

むしろ、振ってやるつもりだったんだけど。

先手を打たれたという話。
「中嶋、ちゃんと聞いてんのかっ」

頭を下げていたのをいいことに、ちょろっとトリップしていたら見破られた。

ホント、目ざとい鬼め。

「すみませんっ、今すぐ直してまいります!」

恭(うやうや)しく書類の束を受け取り踵を返せば、
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