部長に恋して。
「クソガキ、1時間で直してこい」
鬼の口癖とともに。慈悲の欠片もない命令が下された。

この鬼!悪魔っ!

「部長…」

恨めしげに振り返る私を、鬼の長谷川部長様はそのキリッと精悍なお顔に暗雲漂わせた鋭い目でみかえしてくる。

最近は泣きそうなくらいびびったこの顔も、週のうち5日も見ていりゃ慣れるというものだ。

「成人女性にクソはともかくガキはないですよ」

ミスが多いという自分の欠点を踏まえた上で、出来る最大限の反論をすると、

「お前な…」

ヤバイ、雷第2弾の発電を開始した模様。

「直してまいりますっ」

脱兎のごとくデスクに戻る私に、同期の吉田がクスクス笑っているのが見えた。

他人事だと思って高みの見物するなっ!

そんな抗議の眼差しをジロリとむけて、私はタイムリミットまでにやらなきゃいけないことのために、パソコンの電源を入れた。

今日も部長はピリピリしてる。

カルシウムが足りてないんじゃなかろうか。

そんなことを思いながら、チラ見のつもりがガン見していたらしい。

「あと57分!」

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