カッパァ華
政吉のあとを追いかけ父親も池に来たときには、政吉は泣き叫んでいた。



「カッパァ! カッパァ!
早く池からあがれ! カッパァ! 毒をな!
大人たちは毒を入れたんや!
早く! 早く池から出ろ! カッパァ!
カッパァ……!」



「政吉……」



「おとうちゃん……カッパァが死んでしまう……カッパァが……
俺を助けてくれたカッパァが……
このままじゃ、カッパァが死んでしまうやないか……」



何も言わず父親は、政吉をきつく抱き締めていた。
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