カッパァ華
[ガサガサ…… ガサガサ…… ガサガサ……]



「おとん……なんか穴の中から、這い上がってくる音が聞こえる……
おとんも聞こえるか……?」



[ガサガサ……ガサガサ……]



「あぁ。聞こえるな……
なにか出て来るぞ! 早く秀政、早く下がれ!」


[ガサガサ……ガサガサ……]



「わかった……怖いよ……おれ……」



さっきまでの威勢とは裏腹に、目に見えない音に恐怖を感じた秀樹は、ジリジリと後ろに後退していった。



政吉もまた、何が来るのかと身構え穴の中を凝視していた時、
中からは子供の頃に見覚えのある、手のない緑色の腕が、地面から出てきていたのだ。




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