カッパァ華
「俺のこと、忘れたんか……
俺も大人になってしまったから……
仕方ないよな……もう分からないよな……」



政吉は寂しそうな顔で呟いていた。



しかし、河童は警戒を緩めず叫び続けていたのだ。



「人間が憎いんだよな……あんなことされたら、当然だよな……
でも、生きていて本当に良かった……
あれから、ちゃんとお礼も言えなくてごめんな。

ありがとう……カッパァ……」



その言葉に河童は叫ぶのをやめて、目の前にいる人間の顔を覗き込むように身をかがめた。



「おとん……逃げろよ……」



秀樹はやっとの思いで声を発していた。



しかしその巨大な河童は、先程の声とは違い小さな声を発していたのだ。



「グアアア……グアアア……」



まるでそれは、懐かしき友達を呼ぶかのような優しい響きだった。

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